ホメオパシーとダイエット
「ホメオパシー」というものがダイエットに効果がある、という説を耳にしたことのある人もいるかもしれません。
ここでは、ダイエットの疑似科学用語として使われる「ホメオパシー」という言葉について、その意味やダイエットへの働きかけ、そして科学的根拠を見ていきましょう。
ホメオパシーとはそもそも何か?
ホメオパシーの歴史は驚くほど古く、18世紀にまでさかのぼることができます。基本的な考え方としては、「病気や、(悪い)症状を起こすものを体に与えることによって、逆にその病気や症状を治すことができる」というものがあります。
安全な量であり、健康被害が出ない程度の濃度のものであっても、それを体が受け取ると、体が「これは大変だ、健康被害の原因となるものが入ってきたぞ。早く治さないと」と、自己治癒力を高める、という理屈です。
このような考え方から、ホメオパシーは、「同種の医療」などのような言葉で表現されることがあります。
この原理に沿うとき、ホメオパシーは、「健康被害や薬の副作用を起こすことなく、自然の治癒力だけを高める優れた医療方法」と言えます。
ホメオパシーを行うとき、キーワードとなるのは、「レメディ(レメディー)」と呼ばれる砂糖玉です。
この砂糖玉には、希釈された「病気(症状)を起こすもの」が入っています。非常に薄まっているため、これ自体が健康被害をもたらすことはありませんが、これを摂取することにより、体が「被害の情報」を手に入れることができ、それによって自然治癒力が上昇する、と考えられています。
参考:日本ホメオパシー医学協会
ホメオパシーとダイエット
ホメオパシーは、しばしばダイエットにも使われます。
ホメオパシーの理念として、「自然の治癒力を高める」「自然に近くなる」というものがあるため、ホメオパシーを利用することにより、あなたにとってベストな体重に近づいていく、という考え方です。
また、ホメオパシーで使うレメディのなかには、過食を改善するというものもあるので、これらを利用してダイエットに取り組んでいきます。
また、レメディは、単純な「健康被害」だけではなく、「マイナスな感情」にも効果があるとされているため、ダイエットに失敗してきたことが心の傷になっている人、ダイエットに向かう気力がない人などにも効果を示すと言われています。
ホメオパシーの疑似科学性について
ここまでホメオパシーについて話してきましたが、実際には、ホメオパシーは「医療」としての能力は完全に否定されています。
極度に薄められた物質というのは、その性質を失いますし、何の効力も示しません。医学界において公的に認められたという経緯もありません。
加えて、ホメオパシーは、「代替え療法」としての可能性もまったくない、とされており、医学的に見て認められるものではありません。
レメディは単なる「砂糖玉」にすぎず、そこに何らかの有用性を認めることはできない、とされています。
それどころか、ホメオパシーを信望していた助産師により、新生児が殺されたという事件もあり、その危険性が指摘されています。
これは、子どもが必要としている栄養素を与えず、「レメディで治る」とし、治療を放棄―虚偽記載していた、という事件です。
医療的な根拠が否定されている以上、ホメオパシーには、ダイエットに対する有用性も期待できません。
ただ、ホメオパシーにはプラシーボ効果は期待できますので、これを信じている人にとっては、ひょっとしたら有用かもしれません。
でもそれは、「イワシの頭も信心から」という程度の、非常に根拠が薄弱なものだと言えるでしょう。
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