「セルライト」とは~ダイエットの疑似医学用語解説~
疑似医学用語の何が問題か
ダイエットを行う前に、知っておいてほしいことはいくつかあります。そのうちの一つに「その言葉は、本当に正しい裏付けが取れているものか」ということがあります。
現在、「本当は何の根拠もないのに、さも根拠のあるように思わせられる」と言う言葉は、世の中にたくさんあります。
もちろんそのなかには、まったく悪意がなかったり、分かりやすく説明しようとした結果として表現がおかしくなったり、あるいはまったくの勘違いで使われている1「罪のない勘違い」というのもあります。
しかしこれが「販売促進のため」という明確な目的を持ったとき、その意味は大きく異なります。
利用者、あるいは利用しようかどうかを迷っている人の不安をあおったり、錯誤させてそれがさも効果のあるように謳ったりすることによって利益を得ようと考える層が一定数いるのです。
プラシーボ効果というのは確かにありますが、それでも、このように悪意に満ちた疑似医学用語を用いる会社が、信用のおける企業である、とはとても言えません。
どのようなダイエット方法を選ぶか、そのときにどのような商品を選ぶか、という課題に対面したとき、このような「疑似医学用語を扱っている会社かどうか」ということは、大きな判断基準となります。今回はそのなかから、「セルライト」を取り上げましょう。
セルライトと言う言葉に対する一般的な理解
セルライトと言う言葉は、一般的には、「ぼこぼこした脂肪であり、お尻や太ももなどにたまるもので、硬く凝り固まっているもの」という形で理解されています。
老廃物などがたまったもの、としている節も多く、肌にデコボコとした形を残すため、忌み嫌われているのです。
この皮下脂肪は、一般的なダイエットでは落とすことができず、エステサロンなどによるマッサージ、あるいは機械的な施術でなければ、解消できないと言われています。
セルライトの実際について
上であげたのが、一般的に言われている「セルライト」の解釈ですが、これはほとんどの面で間違っています。まずセルライトと言う言葉自体は、完全な造語です。
その歴史は今から40年ほど前にまでさかのぼることができるのですが、そのような言葉が医学的に認められているわけではありません。少なくても、病理的なものではなく、また落ちないものでもありません。
実際はただの(つまりはほかの脂肪と同じような)皮下脂肪の一つにすぎません。このため、マッサージや機械などに頼らずとも、普通のダイエットによって落ちると言われています。
「セルライト」と呼ばれるものとほかの皮下脂肪を分け隔てる明確な根拠はなく、きちんとダイエットをしていけば、これらはちゃんと落ちていくのです。
皮下脂肪全体を「セルライト」として称している企業も問題があるのですが、「セルライトは普通のダイエットでは落ちない」としている企業は警戒すべきですし、それを理由にセールスなどをしてくる場合は、速やかに断った方がよいでしょう。
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